勾玉の君 第2話
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自分の指を、首につうと這わせてみる。孝幸になぞられた感触がよみがえってきて、また胸が苦しくなった。彼の指はとても綺麗だった。指だけではない。あんなに孝幸の顔をまじまじと見たのは初めてだったが、はっとするほど整った顔立ちだった。真琴は着物の袖をまくって、自分の腕をぼんやりと眺めた。薄くなってはいるが、あちこちにある傷痕。戦を勝ち抜いてきた者の勲章だというのに、今は何故か、それらが忌々しい。
勾玉の君 第2話
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自分の指を、首につうと這わせてみる。孝幸になぞられた感触がよみがえってきて、また胸が苦しくなった。彼の指はとても綺麗だった。指だけではない。あんなに孝幸の顔をまじまじと見たのは初めてだったが、はっとするほど整った顔立ちだった。真琴は着物の袖をまくって、自分の腕をぼんやりと眺めた。薄くなってはいるが、あちこちにある傷痕。戦を勝ち抜いてきた者の勲章だというのに、今は何故か、それらが忌々しい。
けれどもその完璧な彼には、野望というものがない。彼ほどの人物なら、天下統一を夢見ていてもおかしくないのに。しかし孝幸はそんなそぶりを一切見せない。国の平和を保つために、ただそれだけのために彼は毎日を生きている。
どうして?真琴にはわからなかった。
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小説『勾玉の君』第1話「戦なき国」
仮想戦国時代の主従愛。
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