エロゲー 夏ノ雨 ひなこss『それ以上』

夏ノ雨 ひなこss『それ以上』
説明:ひなこルート。
ひなこさんと言葉の暴力



「つまり一秒間に千回揺れるってことよね。たとえば1000Hzの振動ってどういう時に起こると思う?わかってると思うけど。今よ。あなたが喋ったとき」

「ごめんね理香子ちゃん……」

「何に謝ってるの。謝ってなにか変わるの」

「ごめんね理香子ちゃん」

「うちのマンションがとりあえず平均的なD値を持ってたとするでしょう。内壁ならD-40よね。すると宗介の部屋から私の部屋に到達するまでに500Hzの音は40db減衰するわけ。特に1000Hzなら45db減衰するわけ」

「う、うん……」

「私の部屋の騒音レベルを仮に1000Hz付近で30dbとしてみるでしょう。マスキング効果に従ってこれを上回るうるささでないと私は認識できないの。音源から壁までに3dbの減衰、壁で45dbの減衰、壁から私までで3dbの減衰を見込むとギリギリ可聴となる閾値は81dbでしょう。宗介の部屋で81dbもの騒音をたててやっと私はそれに気付くわけ。ピーク分10dbの余裕をみるとして71dbまでなら聞こえない。つまり私が言いたいのはね、あなたは、宗介の部屋で1000Hzの音をたてるときは71dbまで絞るべきだってことなの、人間が普通に会話するときの音量は60dbなの、それより10dbの余裕をあげてるの、いい?それってだいたい掃除機フル回転させてる時の音くらいなわけ。つまり私に聞こえてる時点で掃除機レベルの騒音をあなたは宗介の部屋で発生させているわけ、わかる?おわかり?」

「ごめんね理香子ちゃん……」

「あらためて。結果で示して」

「反省します。ごめんね、ソウくんのでされるとわたし、我慢できなくて」

「言わんでいいから」


暗転

エロゲー 夏ノ雨 翠ss『雑談その14』

夏ノ雨 翠ss『雑談その14』
説明:共通ルート。
ご飯どきの翠ちゃんと宗介



「でさあ。もしもーし。聞こえてる?聞こえてるでしょ。居留守?受話器取ってる時点で手遅れだからね。というか話の途中で居留守に切り替えるその発想ダイナミックすぎるから」

「聞こえてる」

「じゃ早く替わってよ。いるんだよね?」

「やだ」

「なんでよ」

「理香子はなぁ、お前と話してるほど暇じゃねーの」

「は?」

「あいついま晩メシという重大なミッション抱えてるから。悪いな。また今度な」

「ばんごはん?こら。切るな。あ、ホントに切ったな……」

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オーガスト 穢翼のユースティア エリスss『仔羊のショートロイン網脂包み焼き』(3/3)

穢翼のユースティア エリスss『仔羊のショートロイン網脂包み焼き』
説明:エリスルート、その後。
二章の終わりから一月ほど経った頃の特別被災地区。メルト、一にして全を知る。
『仔羊のショートロイン網脂包み焼き』(2/3)のつづき
『穢翼のユースティア』は2011年4月28日発売予定です。

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オーガスト 穢翼のユースティア エリスss『仔羊のショートロイン網脂包み焼き』(2/3)

穢翼のユースティア エリスss『仔羊のショートロイン網脂包み焼き』
説明:エリスルート、その後。
二章の終わりから一月ほど経った頃の特別被災地区。メルト、魂の叫び。
『仔羊のショートロイン網脂包み焼き』(1/3)のつづき
『穢翼のユースティア』は2011年4月28日発売予定です。

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オーガスト 穢翼のユースティア エリスss『仔羊のショートロイン網脂包み焼き』(1/3)

穢翼のユースティア エリスss『仔羊のショートロイン網脂包み焼き』
説明:エリスルート、その後。
二章の終わりから一月ほど経った頃の特別被災地区
『穢翼のユースティア』は2011年4月28日発売予定です。



○ヴィノレタ・店内


薄い鉄扉を引くと煉瓦造の暖炉から明かりが洩れ出した。
足元に転がる火掻き棒を分厚いミトンで捕まえる。乾いた熱気が肌に迫る。火室の床には一面に真っ赤な熾火が輝いている。
中ほどにある白くなった薪の塊を、メルト・ログティエは軽く突付いてみた。

「むふふ……」
炉は燃え立ちごうごう低い音をたてている。
中心部では怒ったように荒々しく、端では舐めるよう薪をつたう炎の姿は見ていて飽きることがない。身体も芯から温かい。
ある晩のヴィノレタ。
カウンターの奥。調理場。壁側。暖炉の前にしゃがみこみ。メルトはうっとりと目を細めていた。
酒場の店主も楽ではない。
水に濡れた手は暖を求めている。
立ち仕事に疲れた脚は休息を求めている。せわしなく働いていた頭は癒しを求めている。お腹もちょっと減っている。
欲求の全てを満たしてくれる存在――その名を暖炉という。
仕事の合間につくる小さな幸せの時間を、メルトは一人噛みしめていた。
焚き口から踊り出た灰が鼻先を掠めてゆく。
黄銅製の火掻き棒はほど好い重みをもって手に馴染んでいる。ちょっとずつ、ちょっとずつ薪炭を切り崩してやる。一突きごと返事をするように炎の形は変わる。
真っ黒に焦げた薪の表皮を剥がし中に眠る紅色の熾を確認してやる。雑紙を投げ入れて灰を大量生産してやる。内壁の煉瓦をこつこつ打って火花を飛ばしてやる。
空気口を全開にしてアホみたいに燃え盛らせてやる。エプロンに燃え移りそうになりあわてて空気口を絞る。
どうだ嬉しいだろう、などと言いながら底に積もった燃えがらを脇に寄せてやる。それから、少し振りかぶる。
控えめな強さで掻き棒を叩きつければむわっとした熱気と共に薪組みが崩れ落ち、動揺する炎、舞い上がる白灰、すっぱいような炭の匂い、威勢良く散る火の粉。
木のはぜる音が耳を抜けてゆく。
長い溜息を誘われる。顔中の筋肉が勝手に弛んでいく。
酒を呑んでもいないのにメルトの頬はかっかと火照ってきた。サクサク炭の崩れる感触はいつまででも楽しんでいられる気がした。
そしてそのうちに、オーブンの羊肉は黒炭になっている。

「…………」
待った。
いけない。
まずい。それはまずい。
悲劇を繰り返してはならない。お肉を無駄にしてはならない。いつの日か心にそう誓ったのだ。
顔をしかめ名残を惜しみつつ、メルトはあと三十秒したら掻き棒を手放すことに決めた。三十秒はすぐ過ぎた。
割り木を一本薪棚から引きずって来て暖炉に放り込む。メルトの腕と同じ太さのナラ材はすぐにぱちぱち小気味良い音をたて始める。

「メルト。おかわり」
「はぁい」
甘ったるい声音で返事だけして済ませておく。そのうち自分で注ぐだろう。
晩のピークは過ぎ、現在ヴィノレタは深夜営業に切り替わっている。火酒やメチル酒など安酒に肴として肉物、スープを出す。後者は翌日の営業に回せない余り物だ。ラタトゥーユとタジンの残り汁を合わせて煮詰め、チキンの切れ端を落とせば若鶏の狩人風トマト煮込みとなる。そう言い張る。そんな類の料理。美味しいはずだ。文句は言わせない。

「メルト。おかわり」
再度、聞き慣れた不機嫌そうな声がかかる。それを聞くといつもメルトはもう少し煽ってみたくなる。
今手が離せないの。そう言うとすぐに舌打ちが返ってきた。にやけた顔を隠すように、暖炉へ向き直る。
耐火煉瓦で組んでモルタルで固めただけの小型暖炉であるが上部にはれっきとしたオーブンが据え付けてある。グリエから燻製、ケーキ、焼き菓子、ロティスリーまで対応できるこの万能選手とは店が始まって以来の付き合いとなる。観音開きの鉄扉は少し歪んでいる。
じゅうじゅう音をたてている両手鍋をゆっくり引き出すと視界は蒸気に包まれる。
そしてその向こうに、こんがり茶色に焼けたブロック肉が姿を現した。鍋の底には透明の肉汁がいやというほど溜まっている。スプーンでそれをすくって塊にかける。塊にかける。
おいしくなって。なりなさい。なってください。香ばしい肉のかおりが広がる。表面に刺した大蒜とローズマリーは火が通りすっかり中に埋もれている。
もう少し焼け具合を検討してみる。
加熱により気持ち膨らんだ肉は部分ごとにやさしく円みを帯びている。表面に走る濃茶色の焦げつきは内に満ちる豊富な肉汁と、同時にその緊張を予感させる。並の肉では低温グリルでこうはならず、赤みがかった水気がだらしなく流れ落ちていくだけであって、聖教会の十字に似たそのしるしはあわれみ豊かな聖女様の秘蹟とも、永遠の命とも、恩寵の証であるとも人は拝み讃えるかもしれない。しかしメルトは難しい顔で腕を組む。
一歩横にずれ別の角度からも観察してみる。鼻を近づけ匂いをかぐ。スプーンで軽く突付いてみる。脂の粘度を指で確かめる。首を傾げる。また角度を変える。肉汁をすくい蝋燭の明りに照らす。眉根を寄せ、なにか考えるような素振り。料理用語をテキトウにつぶやき、まわりをぐるぐる歩き回る。そうして飽きるまで楽しんでからメルトはうむ、とひとつ頷く。実に有意義な時間である。ヴィノレタではいつも誰かに見られている。溜めて溜めてからうなずくほうがシェフっぽい気がしている。

「ふんふ、ふん……、らら……」
慎重に鍋を持ちあげ向かい側、調理台の上まで運ぶ。
スプーンで肉塊を浮かせ隙間にターナーを滑らせる。そのままボロ布を敷いたバットにどかん、と移す。奥で脂がまだかすかに音をたてている。上からも布をかける。
後はその身を縛りつけているタコ糸を切ってやるだけだ。冷めるのを待とう。明日の仕込みも一段落。待て待て。具体的にはどうしようか。フォンで作ったソースがいくらか残っている。半分はそれで煮込もう。肉汁は何に使おうか……。

「ねえ、紅茶もらったから」
「はぁい。まいどどうるる……ふふんふん、ふん……」
「なにニヤケてるのよ。気持ち悪い」
慎重に考えてやる必要がある。何しろ仔羊の鞍下肉だ。年に一度仕入れられたら幸運という品なのだ。
羊は臭くて固くて筋がある、そんな既成概念をこの肉は一瞬で打ち崩してくれる。代用品?臭くて色の悪い牛?馬鹿を言ってはいけない。コクがあるのだ。コクが。しいて言えば牛テールに近いかもしれない。口の中でほろほろとけていく感覚は誰かの人生を狂わせるかもしれない。下焼きも万全。明日には熟して甘みを増していることだろう。
鼻腔をくすぐる芳醇な香りを肺の底まで吸い込めば吐いてしまうのが惜しくなるし、パリッとした焼き面に目を転じれば焦げついたナツメグ、グローブを吸い取りしたたる脂たちの健気な姿。これにはほくほく顔も禁じえまい。この肉汁は世界を平和にするに違いない。メルトはそんなことを確信する。

「ねえ、聞こえてる?貴女よ、そこの脂臭い店主」
ところが、目の前の友人には別の意見があるようだった。

「気持ち悪いから、人の目の前で、下劣なにやけ顔晒さないでくれない。気持ち悪いから」
「誰が下劣なにやけヅラよ」
「あ、聞こえてた」
「そりゃ聞こえますとも……」
メルトは顔を上げる。
すぐ正面にはエリスが座っている。その顔を見つめて言う。

「下劣ってエリス、それ私のこと言ってる?」
「もちろん」
エリスは上目遣いに、真っ向から見返してきた。

「気持ち悪いのよ、貴女」

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カスタムメイド3D

こんばんは。おはようございます。お久しぶりでございます。ジョウビタキが歌いモズの鳴き声も高くなりゆくこの九月の暮れを皆さんいかがお過ごしでしょうか。

カスタムメイド3D

春と並び、秋は出会いの季節です。高い夏の太陽を追い、駆けり疲れた男たちは癒やしを求めソフマップのレジへと並びます。

そしてそこに神を見ます。

http://www.kisskiss.tv/cm3d/

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エロゲー 夏ノ雨 理香子ss『例の日』

夏ノ雨 理香子ss『例の日』
説明:今年の夏は何も起こりませんでしたエンド。の後。
3月14日。ホワイトデー



○桜井家・宗介の部屋


寝返り。
窓。緑色の遮光カーテン。隙間から漏れる春の陽光。郵便バイクのアイドリング音。
ベッドの上、寝返り。
黒髪がほつれ枕にひろがる。
ギーヨ、とヒヨドリの鳴き声。廃品回収車のテープ放送。陽気なメロディ。
『こちらは、廃品回収車です。ご不要になりました、テレビ、パソコン、自転車、CDラジカセ、』
ベッドの上、寝返り。
壁との距離、およそ3センチ。まるめたタオルケットを抱きしめる。ひくひく小鼻が動く。
『無料にて、回収いたします』
ごすん、と音。
壁、殴られる。
『壊れていても、かまいません。お気軽にご相談ください。こちらは、廃品回収車です。ご不要に』
理香子、ぐりぐりと額を枕にこすりつける。うめき声。
「うう――――!」

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